"画家によって描かれるのものは画家自身の内面のあらわれでもある"
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
私が初めて出展するために作品を描いたのは中学生の時で、ボザール(フランスの芸術家養成学校)のコンクールでした。あえて全体的な仕上がりの美しさを意識しないようにして、細部を描くことにのみ集中しました。従来のうように全体的な均衡を考慮して描くのではなく、被写体の一部に注目して描くことにこだわりました。
肖像画を描いているときに、描かれている人物の内なるものを構成しているのもを描きたいと思いましたが、当時は、顔の特徴をとらえて細部を正確に描くことで被写体の真の姿を描けると思っていました。
現在の私の作風である解剖学的なデッサン「アナトミー」を思いついたのは美大の時でした。人間の身体を正確に描いたルネッサンスの巨匠たちの作品にインスピレーションを受けたからです。
大学のデッサンの授業で、私はいつも新しいテクニックを試したり、枠にはまらない自由な画風を探求しました。当時は、アカデミックな手法から抜け出したくてたまらない一方で、伝統的な手法を完全に手放すこともできずにいました。
大学卒業後、絵画は諦めて仕事に集中することにしましたが、創作から離れた日常は長続きしませんでした。仕事を辞めてアーティスト活動に専念することを決心しました。この時、やっと自分を解放して描きたいものを描けるようになったのです。
興味を惹くこと好奇心をそそられるもの、形、影、光、色、私を魅了して感動を呼び起こすものならなんでも描きたいと思うようになりました。
テクニック: はじめにパステルを使って早いスピードで何度も線を引きます。その後に色を付けます。途中で気が変わって別の色が思い浮かぶことがあるので、色は何度も重ねます。自然な感じを出すためにわざと仕上げにタッチを残しています。
絵の具が乾いてからパステルで細部を加え、クレヨンを使って色を足します。パスカルで線を補強することもあります。
フォーマット : 一見矛盾しているようですが、私は基本的は大きなフォーマットが好きなので小さなフォーマットを組み合わせることで大きなフォーマットにします。この選択は細部を描くことにこだわりがある故ですが、現実的な問題でもあって、大きなキャンバスで描くスペースがないこともあります。小さな四角い枠に収まるように描きますが、ときどき開放的になりすぎて均衡を保てず、つなぎ合わせるときに苦労することがよくあります。
支持体 : 素材の感触がいいので、私はキャンバスに描くのが好きです。画布は丈夫で破れにく、何でもできるところがいいです。
表現したいもの : 私の作品は身体との対話、身体を通じてのスピリチュアルな冒険や夢想を表現しています。実際の人間の身体がどのようになっているのか、どのように機能しているのかに関心を持ちつつ、私なりのアーティスティックで詩的な法方で人間の表面と内面を表現しています。